RSTチーム

どんなに優秀な医師や看護師がいても、一人でできることには限界があります。それぞれのプロフェッショナルである多職種が力を合わせることで一人で成しえる医療を越えた医療を実践することが出来るのです。そして忘れてはいけない事は医療者だけでなく治療をうける患者さんも「より良い状態に回復する」ために共に歩むチーム医療の仲間なのです。
当院で活躍するチームの中からRSTを紹介します。

  • RSTは2005年3月に発足
  • 医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士、事務員から合計25名程で構成
  • 酸素吸入から人工呼吸まで院内の呼吸療法のすべてに関わり、安全で質の高い呼吸療法を提供できるよう組織の枠にとらわれず横断的に現場をサポートする活動に取り組んでいる

教育活動の実際

看護師向け 研修医向け
日程 テーマ 日程 テーマ
6月3日 呼吸の基礎①(フィジカルアセスメント) 5月17日 酸素療法
7月1日 呼吸の基礎②(酸素療法) 7月5日 NPPV
8月5日 呼吸の基礎③(人工呼吸とNPPV) 9月6日 NPPVシミュレーション
9月9日 呼吸理学療法 11月1日 人工呼吸管理の一般的管理
10月14日 人工呼吸①(ラダー)基礎編 12月5日 人工呼吸管理
11月18日 人工呼吸②(ラダー)応用編 1月10日 人工呼吸シミュレーション
10月31日 呼吸療法認定士受験対策① 年間勉強会スケジュール
11月7日 呼吸療法認定士受験対策②

RSTの活動について教えてください。

長谷川

発足前の当院の呼吸器管理は主治医がメインとなり担当の患者さんに対して行っておりましたが、病棟や主治医によって方法がバラバラで統一されておりませんでした。また呼吸器のケアについても得意な先生ばかりではなく、指示を受ける看護師が困ってしまうという状況もあったようです。その当時は人工呼吸に関する医療事故が社会問題としてしばしば報道されており、当院でも医療事故の可能性を極力取り除くために呼吸管理について見直しをしたいと考えていました。
その頃、私は現在の集中治療医ではなくて呼吸器内科医でしたが、どんなに頑張っても自分ひとりで提供できる医療には限界があると感じていましたので、もし呼吸管理についてモチベーションが高い人たちが集まればさらに良い医療が実現できるし、医療安全も高まるだろうという考えから(RST発足の)発想に至ったわけです。


RSTの活動の目的は3つです。

①院内の呼吸療法の質を高めること
②事故を未然に防ぎ医療安全を高めること
③呼吸療法認定士を取得しモチベーションの高い人材同士で集まること


モチベーションが高い人たちがチームに所属すると異なる職種同士リスペクトし合いながら良い医療が提供できるうえ、RSTの看板を背負うことで責任を持って患者さんに接することができ、よりやりがいを感じることができるようになります。

春田

週に1回、担当者が集合して人工呼吸器を装着している患者さんを回診しています。回診以外にも「教育チーム」「マニュアルチーム」があり、勉強会の運営や病棟での教育活動をしたり、マニュアルを作ったりしています。他の病院では看護部門のマニュアルのみ用意されているという話も聞きますが、渡邉さん達がどの職種でも使用できる統一されたマニュアルを作ってくれているのです。マニュアル担当のメンバーが率先して情報を常に最新に保てるようバージョンアップしてくれています。

医師

チーム医療における多職種との連携のしやすさはいかがですか?

理学療法士
渡邊

従来は理学療法士一人で患者さんのところへ行きリハビリしたり人工呼吸器や治療の情報を聞いたりしなくてはいけませんでしたが、今はチームで患者さんのところへ伺うので情報が共有しやすくなりました。また臨床工学技士や医師にコンタクトが取りやすくなったので「横の繋がり」がとても強化されて仕事がしやすくなったと思います。
RSTに理学療法士は3名おり、人工呼吸器をつけている患者さんはたいていチーム内メンバーでフォローをしていますが、それ以外の理学療法士にも呼吸器管理のやりがいやチーム連携による「ワンランク上の医療が出来る楽しさ」を伝えるようにしています。

長谷川

今渡邉さんが指摘された先輩の背中を見て後輩が育っていくというのも大事だと思います。他の職種と交わることへの抵抗感が下がりますよね。職種が違ってもフラットに接していいのですと。研修医たちにもぜひ学んでもらいたいと感じています。

松岡

私の勤務しているNICUはどうしても閉鎖的な環境になりがちです。多職種の臨床工学技士さんや理学療法士さんと一緒にラウンドする機会があると、たくさんの刺激をもらい色々考えるきっかけになります。呼吸療法認定士の資格は持っていますがNICUの所属が長いものですから、成人の現場に同行して疾患や治療やリハビリなど見せていただくと勉強になり、世界が広がっていく感じがしますね。

長谷川

最近日本全国の病院でチーム医療が流行の様になっていますが、実際に行うには困難な場合もあります。私たちRSTのチーム医療は成功しているケースに入ると思っています。モチベーションの高い人が集まり「こういうことにチャレンジしてはどうだろう」と一人一人が考えてくれるので、リーダーの仕事が楽になります(笑)。チーム医療はそれぞれ個人のやりたいこと(例えば呼吸療法の充実など)を病院にサポートしてもらうためのツールだと思います。

春田

このチームはとても仲が良いですよ。チームの中の上下関係いわゆる「縦割り」的な印象は一切なく、皆で仲良くやろうという雰囲気があります。また現場が困っていたら協力的に動いてくれるのが私たちのチームの良いところです。例えば「リハビリをするのに困っている患者さんがいる」と渡邉さんから連絡が入るとRSTの医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士が時間を決めて集合し皆でその患者さんのベッドサイドへ向かうのです。他の病院でここまでの活動事例を聞くケースは少ないです。松岡さんは病棟看護師の立場からRSTと病棟のつながりはどのように感じていますか?

松岡

主治医以外の医師が患者さんに関与するということが私の感覚になかったので驚きでした。そしてRSTから患者さんの治療方針の提案があったりして面白いとおもいます。さらに理学療法士さんや臨床工学技士さんと強い関係があって、すごいな!と思いました。

長谷川

医師は指示を出さなくてはいけない立場ですが、内科や外科の先生が専門的な人工呼吸器設定や器材を用意出来るかといわれたら、なかなか難しいですよね。私たちは他の職種と助け合った方が多くのメリットがあると学んできました。また当院には他にもチームがたくさんあって、それぞれが仲良く心地よく仕事をしています。
私見ですがパラメディカルにとってチーム医療は当然のこととして受け入れられつつありますが、医師の方は少し事情が異なるようです。チーム医療をすることで何がプラスになるのか気付いてない医師が多いと思います。医者は多職種からアドバイスを聞くということには慣れていないのです。日本のすべての医師がチーム医療の価値に気づくまでにはまだまだ時間がかかるでしょうね。また事務スタッフにもぜひ医療者としてのプロ意識を持ってチーム医療に入ってもらいたいなと思います。

臨床工学技士

最後に医療の先輩として医療人を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

看護師
長谷川

医療ほど面白い仕事はないと思うので医療に携われることは喜びになると思います。病気の方を良くして治すことが出来るのは私たち医療人だけですし、これから医療の道に入ってくる方はそういう素晴らしい職業だと意識してほしいですね。自身の力を存分に発揮するためにはレベルアップする努力も必要です。そのため私たちのようなチーム医療の組織に入っていただければ楽しくレベルアップしていけます。

渡邊

医療職に踏み込む人はプロ意識の強い方が多いと思います。チーム医療に入っていろんな職種と関わることで目標に早く到達したりレベルの高いことが実現できます。どの職種であっても一人の殻に入らず、活発に行動しているチームがあったら率先して覗きに行くといいと思います。病院では人工呼吸器や酸素療法が必要な患者さんにすぐに直面するのですが、学校ではほとんど教えてくれない特殊な知識が必要です。チームに入って勉強することが出来ればより安心安全に患者さんをサポートできますよ。

春田

私は看護学校で授業を受け持っています。学生さんは実感がないのか生命維持装置の話をしていても「ふーん…」という感じですが、実際に病院に入るとその難しさを実感するものです。そのため私たちが病棟へ行った時にはスタッフにできるだけ声をかけて困っていることがあるなら相談にのり、新入職員の方が少しでも気楽に仕事が出来るようにと気を配っています。また呼吸ケアについて楽しく関わってもらえるよう工夫をしています。患者さんが回復され退院していくというような体験を通して医療人として育ってほしいと思います。

松岡

春田さんがおっしゃっていた通り、実際学校で学んだことと臨床で必要とされる知識には大きく格差があり、実際には入職してから研修を受け勉強する事になります。人工呼吸器やトラブル対応のシミュレーション研修など今度は私が教える立場になりつつありますが、研修を受ける側だった時にはRSTのメンバーが教えていることを知りませんでした(笑)。院内の教育が当たり前のように行われているのだけれどそれをサポートしてくれる人たちがいるのだと今になって分かりました。

春田

新入職員たちは現場に出てビックリ!ドッキリ!の環境の中で仕事を覚えながら力をつけていくことになります。RSTでは初級・中級・シミュレーションというように段階を経た教育を行っておりますし、他の職種も積極的に関わっていますから、自然に多職種と連携する文化になじむことが出来るようになります。また知識を詰め込む教育だけではなく実際にトラブルが起こったらどう対処するのかというトレーニングもしっかりやります。このような教育方法は日本全国の病院でも少しずつ広がりを見せているようですが、当院はずっと前からトラブル対応のトレーニングを導入しています。

長谷川

何かの縁があり医療の世界に足を踏み入れたとするなら、一人で出来ること以上の医療を成しえる医療人を目指していただきたい。チーム医療を実践したいという方は是非私たちと一緒にやりましょう!

仕事風景
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