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肺癌について

  • 症状・種類について
  • どのような検査が必要ですか
  • どのような治療方法がありますか

肺癌の症状・種類について

主要部位別・年次別・性別・年齢調整死亡率 現在、日本において癌のなかでの最も死亡数が多いのが肺癌です。肺癌の死亡数は、男性では1993年に胃癌を抜いて一位となり、1998年には男女併せた死亡数でも一位になりました。2003年には約6万人の方が肺癌で亡くなられましたが、今後も肺癌の死亡数は増え続け、2010年には10万人を超えると予想されています。この頁では、肺癌の基礎知識や治療についての知識を紹介します。

肺癌になりやすい人はどういう人ですか?

 いくつかの因子が肺癌発生の危険因子であることがわかっています。その中でも最も重要なものが喫煙です。喫煙者が生涯のうちに肺癌になる割合は20%以下ですが、肺癌になった方の80%以上が喫煙者であると言われています。また喫煙者が肺癌になる危険率は非喫煙者の10~20倍程度高いとも言われています。喫煙開始年齢が若い程、また喫煙量が多いほど肺癌になる危険が高い反面、喫煙者が早く禁煙を開始すればするほど肺癌の危険が低下します。受動喫煙(家族が喫煙者などの場合)も肺癌発生の危険を高くしますし、喫煙指数(一日のタバコの本数X喫煙年数)が同じであれば女性の方が肺癌になりやすいというデータもあります。
 喫煙以外の危険因子としては、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、塵肺、肺線維症(間質性肺炎)などの肺疾患がある方も、肺癌の発生率が高いと言われています。
 いずれにいても、最も大きな危険因子は喫煙と考えられますので、禁煙は肺癌の発生を防ぐためにも重要です。

どのような症状が起こりますか?

 肺癌になった方の症状としては、長く続く咳や痰、血痰、発熱、呼吸困難、胸痛などがあります。進行すると、食欲低下ややせてくるといった症状が出てくることもあります。しかし、これらの症状は一般に病気がある程度進行してから出現することが多く、健診などで無症状で発見される肺癌も多くあります。症状がでてから発見された肺癌は無症状で発見された場合と比べて、進行癌が多く、予後も悪いと報告されています。

どんな種類がありますか?

組織分類 大きく分類して4つの種類があります。腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌は併せて非小細胞肺癌と呼ばれます。それぞれ、肺癌全体の50%、30%、10%を占めます。これに対して小細胞肺癌は肺癌全体の15%と言われています。腺癌と大細胞癌は肺の末梢(端のほう)に発生することが多いのに対して、扁平上皮癌、小細胞肺癌は肺の中枢(中心の方で気管に近い側)に発生することが多いのが特徴です。進行の仕方や抗癌剤に対する反応の違いから、治療については、一般に非小細胞肺癌と小細胞肺癌にわけて論じられます。

検査について

どのような検査が必要ですか?

 胸部レントゲンやCTで肺癌の可能性が疑われますが、診断は組織学的検査によってなされます。組織学的検査とは、病変の一部の組織を採取して顕微鏡で観察し診断するものです。組織を採取する方法には、気管支鏡下肺生検、CTガイド(透視)下肺生検、胸腔鏡下肺生検などがありますが、CTなどの所見を参考に生検方法が選択されます。各検査についてはそれぞれの検査の頁を参照してください。

肺癌の進行度はどのようにして判別しますか?

化学療法とBSC治療方針 一般にTMN分類が用いられます。Tはもとの肺癌そのものの大きさや周りの臓器への進達具合から決められます。Nは肺門(肺の中心の部分)や縦隔(左右の肺の間にあり、心臓や大血管がある場所)などへのリンパ節転移の程度で決められ、Mは他臓器への遠隔転移の有無によって決められます。このTMN分類によってI期~IV期までのステージに分類され、このステージによって治療が決定されます。
 小細胞肺癌に限っては、TMN分類によるステージング以外に、肺癌が限局している段階(LD)と進展した段階(ED)の二つに分け、これによって治療の選別を行います。

治療方法について

 肺癌の治療には、大きく分けて手術、抗癌剤を用いた化学療法(分子標的薬を用いた分子標的治療もここに含まれる場合があります)、放射線療法があります。肺癌の進行度(ステージ)やタイプ(非小細胞肺癌か小細胞肺癌)によってこれらのうち単独、または組み合わせて治療を行います。それぞれ、効果の違いや副作用や合併症の違いがありますので、治療を受ける際はこれらの治療の特徴について十分説明を受ける必要があります。

5年生存率
肺癌の治療成績は?

  一般に5年生存率がよく用いられます。次の表に日本での標準的な治療成績を示しますが、あくまで平均値ですのでこれより良い場合もあれば悪い場合もあります。

治療に用いる抗癌剤にはどのような種類があるの?

 化学療法の基本となる白金製剤(プラチナ製剤)として、シスプラチン(ランダ(R)、ブリプラチン(R)、プラセド(R))があります。その他新規抗癌剤と呼ばれる、パクリタキセル(タキソール(R))、ドセタキセル(タキソテール(R))、ゲムシタビン(ジェムザール(R))、ビノレルビン(ナベルビン(R))、イリノテカン(トポテシン(R)、カンプト(R))、トポテカン(ハイカムチン(R))。その他、やや古いものの現在も標準的に使用される、エトポシド(ラステット(R)、ペプシド(R))、ドキソルビシン(アドリアシン(R))、テガフール・ウラシル(ユーエフティー(R))。近年使用可能となったアムルビシン(カルセド(R))、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(ティーエスワン(R))など、単剤または2剤の組み合わせを肺癌のタイプや進行度、患者の年齢や全身状態に合わせて選択します。
 分子標的薬として近年使用可能となったゲフィチニブ(イレッサ(R))も、非小細胞肺癌の最発例を中心に用いられます。

当院での化学療法とその成績

 当院でも世界や国内で報告されてきた標準治療を基本として治療を行っています。その他、名古屋大学を中心としたNPO臨床研究グループ(中日本呼吸器疾患研究機構)の一員として、新しい治療方法の確立を目的に臨床研究に参加し、新たな治療方法を患者さまの同意を得た上で行っています。  当院において化学療法を施行した切除不能非小細胞肺癌患者(根治的放射線照射の適応のないIIIBまたはVI期)の方に対する治療成績は、中間生存期間で10ヶ月となっています。これは一般に臨床試験などで報告されている成績とほぼ同等な数字であり、報告される臨床試験が比較的全身状態の良い患者のみを対象としているのに比べて、当院は実際の臨床での成績であるため高齢者や状態のそれほど良くない患者も含まれた成績であります。そういったことを考慮すれば、当科での化学療法の治療成績は、世界の先端の診療成績と肩を並べるといえます。

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